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むし歯が進行して神経や血管に影響を及ぼした場合、「根管治療」が必要となります。しかし、MTAセメントとして知られる特殊な歯科用セメントを使用することで、神経や血管を生きたまま保持しながら治療が可能です。倉敷市の歯科・歯医者「西阿知クォーツ歯科クリニック」では、神経にまで達した重度のむし歯でも、歯の神経を残すことに全力で取り組んでいます。
神経を保存するMTAセメント治療
重度のむし歯で「神経を抜かなければいけない」と言われたら、以前は神経を取る治療以外に選択肢はありませんでした。
歯の神経を抜くと歯が割れやすくなり、寿命が短くなる一方、神経を保存する治療は高い知識や技術、経験を必要とします。そのため、多くの歯科医院では神経を抜く治療が主流ですが、これは歯の喪失早めてしまいます。歯を長持ちさせるためには、安易に神経を取らないことが重要です。
もし歯が失われてしまうと、さまざまな疾患(脳梗塞・糖尿病・高血圧など)を招くリスクが高まります。それにより介護が必要となれば、ご家族の方々を巻き込む大きな問題になることでしょう。
歯が健康であれば、旬の食材が美味しく食べられますし、偏った食生活をする必要がなくなります。当院では、健康な歯でバランスの良い食事ができて、いつまでも若く健康的に過ごせる、患者さまにそんな人生を楽しんでいただきたいと考えています。
歯の神経を残す3つのメリット
- 歯の神経を取った場合と比べ、歯が長持ちする。
- 歯に過度な力がかかりすぎないように、神経が守ってくれる。
- 神経を取る(最低5回かかる)より、治療回数が少なく済む。
MTAセメント治療の症例
症例タイトル | 神経の保存 |
---|---|
年齢 | 19 |
性別 | 男 |
住所 | 倉敷市 |
主訴/ニーズ | |
治療期間 | |
治療内容 | 直接覆髄、ダイレクトボンディング |
費用 | 11万(込み)×2本 |
"院長コメント& 治療のリスク" |
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歯の神経を残すための治療
当クリニックでは、歯の神経をできる限り保持するための「歯髄温存療法」を特に重視しています。歯の寿命は、歯髄(しずい)の存在に大きく影響を受けるため、その神経をなるべく抜かないようにすることが推奨されます。
歯髄とは?
歯髄は、歯の内部にある神経と血管で構成される重要な組織です。この歯髄の健康状態が、「生きている歯」と「死んでいる歯」を区別するほどの大きな役割を果たしています。そのため歯髄を健康に保ち、なるべく保存することを強く推奨しています。
歯髄が担う役割
歯髄があることで健康な歯が作られる
歯の発育には歯髄が不可欠であり、長期的な健康維持にもその存在が有利です。歯髄の重要性を認識し、その保存に力を入れています。歯髄の血管からは、栄養素や水分、酸素が歯に供給されるため、その機能が失われた歯は、枯れ木のように折れやすく寿命も短くなってしまいます。
痛みを感じることで歯を守れる
歯髄は感受性も高く、外からの刺激に対して警告として痛みを発生させます。強い衝撃や細菌感染が歯に生じた場合、痛みを通じて早期にその異常を察知することができます。一方で、歯髄が機能を失った歯は外の刺激に反応できなくなり、虫歯や外傷が進行しても自覚が遅れ、結果的に歯の健康が大きく損なわれることになります。
生活歯と失活歯
生活歯(歯髄のある歯)
健康な歯の維持が可能です。
外傷や細菌感染を素早く察知しやすい。
失活歯(歯髄のない歯)
象牙質への栄養供給が断たれます。
外傷や細菌感染を察知しにくい。
歯髄を除去する時とは
歯髄の除去は主に次の2つの状況で必要とされます。一つ目は、虫歯によって歯髄が感染してしまった場合です。これは強い痛みをもたらすため、症状の緩和を図るために除去が推奨されます。二つ目は、虫歯が進行しすぎて歯髄が壊死した状態です。この場合、痛みはなくなるかもしれませんが、問題は解消されていないので、壊死した歯髄組織の除去が必須となります。
歯髄温存療法とは?
科学的根拠に基づいた診査・診断
歯髄温存療法は一概にすべての状況で有効なわけではありません。詳細な診査と診断を基に、歯髄を残す方が最善と判断される特定のケースでのみこの治療が適用されます。
そのため、レントゲンを用いて歯の根や歯髄のコンディションを詳細に調査します。歯髄が活性化しているかどうかは、歯髄電気診で確認します。このような科学的根拠により、歯髄を維持するか、それとも除去するかを慎重に判断します。
清潔な環境下での治療
歯髄温存療法をうまく行うための鍵は、感染制御(インフェクションコントロール)です。治療中に患歯に細菌(唾液)が侵入すると、再感染のリスクが高まり、治療は失敗につながります。この問題を解決するために、ラバーダム防湿が不可欠です。これは、患歯以外の部分をゴム製のシートで覆い、唾液の侵入を防ぐ手法です。
マイクロスコープによる精密処置
歯髄の露出部分が非常に微細で、多くの場合で0.5mmにも満たないため、裸眼での確認は非常に困難です。そこで、マイクロスコープの力を借りて歯髄温存療法を施行します。この高度な視覚補助によって、術野は約30倍まで拡大され、治療の精密性と安全性が大幅に向上します。
歯髄温存療法の種類
歯髄温存療法には、以下の挙げる2つの種類があります。
直接覆髄
「直接覆髄」は、露出した歯髄に特定の薬剤を直接塗りつける手法です。主に使用される材料は「MTAセメント」であり、歯髄温存療法において高い成功率が報告されています。さらに、状況によっては「部分断髄」という手法を採用し、一部の歯髄を取り除いた上でMTAセメントを使用することもあります。これにより、各ケースに最適な治療を選択します。
関節覆髄
「間接覆髄」とは、深い虫歯が歯髄に近づいた状態で虫歯を取り除いた後、特定の薬剤で歯髄を守る手法です。歯髄は非常に繊細な組織で、外見上は露出していなくても、微小な神経が露出している(不顕性露髄)可能性があります。この治療法を用いることで、歯髄周辺の新しい歯質形成が促されます。
歯髄温存療法の症例
症例タイトル | 神経の保存 |
---|---|
年齢 | 19 |
性別 | 女 |
住所 | 倉敷市 |
主訴/ニーズ | 他院で神経を取らねばいけないと言われたが神経を保存してほしい |
治療期間 | 2回 |
治療内容 | 直接覆髄、ダイレクトボンディング |
費用 | 11万(込み)×2本 |
"院長コメント& 治療のリスク" |
今回のように歯が大きく欠けた場合では一般的には、神経を取られ被せ物で治すことが多いです。しかし神経を取ることは歯の寿命を大きく縮めてしまうリスクが高いです。お母さんからも何とか残してほしいというご要望がありましたので残せて良かったです。前医での治療がどこまで行っていたか、放置期間がどれくらいあったかで必ずしも神経を保存できるとは言えません。術後はしばらく冷たいものに敏感になることがありますが3か月くらいすると何も感じなくなることが多いです。 |
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歯髄保存が適さないケースもあります。
歯髄を保つことには多くのメリットがありますが、それがすべての状況に適しているわけではありません。虫歯の進行具合によっては、歯髄を除去し根管治療を行った方がより良い結果が得られることも考えられます。従って、歯髄温存療法はあくまで一つの選択肢であり、万能ではないことを理解してください。